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ジオを知るには、よきジオガイド

更新日:2019年12月10日

隠岐で拾ったお話 その1

隠岐2億5000万年の歴史を紐解く

 9月25~27日、島根県の隠岐でジオサイトを中心に見てきました。隠岐は、ユネスコの世界ジオパークに認定されている、日本で9か所の内の1つです。(その他に、日本ジオサイトが35、ジオパークを目指している15地域があります)詳しくはこちら


島前の西ノ島北西側にある国賀海岸。変化に富んだ海岸線は見飽きない

 現在の隠岐は、島根半島沖に浮かぶ、4つの人の住む島と180ほどの小島の集まりです。

 しかし以前は、隠岐も日本列島もユーラシア大陸の一部でした。これが2600万年前頃からの地殻や気候の変動で、少しずつ動いたり分裂したり海面の高さが変わったり、という変化を経て、大陸を離れて日本列島が形成され、間に大きな湖ができます。それが進むと湖に海水が入ってきて日本海に。

 さらに約600万年~50万年前、日本海で起こった火山活動でできた島が隠岐諸島です。その後、2万年前の氷河期には海面が下がって日本列島と地続きになりましたが、約1万年前にまた温暖化して海面が上昇し、離島になりました。


 という基本的なところだけでも押さえて行くと、楽しさ何倍かになります。(実は隠岐へ行ったのが5回目なのですが、その都度思い出さないと忘れてしまうのですが)


今生きる人もジオパークの一部

 ジオパークというと、地殻変動とか地層とか石とか、地学の話ばかりになりがちなのですが、「日本ジオパークネットワーク」では「ジオパークとは何ですか?」という疑問に、

 ジオ Geo(地球・大地)+パーク Park(公園)=大地の公園

と定義します。

 そこは、

○大地の上に広がる

○動植物や生態系の中で

○人が生活し歴史を育んでいる

というつながりを、楽しく知ることができる場所なのです。


 ジオパークというと何万年、何億年という地球の営みに目を奪われてしまうけれど、そこに生きる植物や動物も、人間も、その歴史の最後の一瞬を生きている自分も、ジオパークを形づくっているひとつの要素なんですね。

 ということに気付いたのが、今回、隠岐での最大の収穫でした。


(上段)国賀海岸。海食によって岩に穴が空いた通天橋、夕陽を点った火に見立てローソク岩とも呼ばれる観音岩、高さ257mの断崖・摩天崖 (下左)国賀海岸の上の草原には、馬や牛が放牧されている (下中)隠岐では対馬暖流や霧などの影響で、6月から12月まで色鮮やかなアジサイが見られる (下右)知夫利島の河井の湧水。隠岐は離島にもかかわらず水が豊かなことにも秘密がある

ありがたきジオガイド

 それは、今回案内してくださった、隠岐ユネスコ世界ジオパーク推進協議会事務局長の野邉(のべ)一寛さんのおかげでした。ジオパークの魅力は、前述の通り幅が広いし、目の前にあるものを見ただけではわからないことだらけ。なので、ほんとうに楽しむにはジオガイドの力がとても大きいのです。

世界ジオパーク・隠岐を知り尽くす野邉一寛さん

 野邊さんは、とても知識が豊富でトーク力もあり、経験も積んでいるので、最上級のガイド役です。時折出題されるクイズには、これまでの知識フル稼働で考えてしまうし、本気かと思いきやただの冗談で外されるし。

 それより何より、ご自身のジオと隠岐への興味があふれんばかりで、とても楽しそうなことに惹かれました。

「ガイドがほんとうにおもしろがっているから、私もおもしろい」

 これは、真理だと思います。

 ジオパークは壮大で奥深いものなので、こういうジオガイドが不可欠です。そうでないと、おもしろさの数パーセントしか感じられません。もちろん、景色を見ただけでも圧倒されるのですけどね。

 各地のジオサイトで、ジオが好きでたまらないジオガイドさんが活躍して、かつ、ちゃんとそれで暮らしていけるようになることを望みます。

 実にたくさんの「おもしろい!」を獲得した3日間だったので、ここに書いたのはほんの一部です。

 読んだからといって、実際に行く意味のなくなるネタバレはありません。むしろ、知ってから行った方が楽しめると思います。

 本物の隠岐は、ぜひ現地で。


<隠岐で拾ったお話> ※6本、順不同でご覧ください。


 その1 ジオを知るには、よきジオガイド

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