オンラインツアーってどう?③~これからの旅につながるツアー



これからの旅につながるオンラインツアーに

 多くの人にとって行楽としての泊まりがけの旅行は、せいぜい年に2~3回というところでしょう。それでも、旅行するなと言われると「行きたい」気持ちがマグマのように蓄積され、禁を解かれた途端に一斉に動き出すものだということは、昨年の旅行者の動きで証明されました。もちろん、Go To トラベルが後押ししましたが、“旅の渇望”は自由の象徴として多くの人の中に潜在的にあるようです。

 現状、いつになるかわかりませんが、安心して旅行ができるようになったときに真っ先に「行き先」として選ぶ・選んでもらう布石としてのオンラインツアーは、真剣に考えるべきだと思います。

 旅行者の側からは、オンラインツアーに参加することで、実際に行く旅行をより充実させることを積極的に考えてもいいのではないでしょうか。いきなり現地に行ってもキャッチしにくい価値を予習することができたり、キーマンを知って会いに行くことができたり、距離感など土地勘を得られたりします。

 ということは、事業者としては実際の旅につながるようなオンラインツアーが組み立てられて、かつ集客もできれば、大いに今後の種まきになります。



より有意で優位なオンラインツアーに


 では事業者は、どのような内容のオンラインツアーを造成すればよいでしょう。

 自分の地元のいいところを、最もいい条件で見てほしい、というのは当然あります。自慢したいところを全部見せたいのもわかります。しかし、事前にあまり耳年増になってしまうと、実際に旅行したときにそのイメージを探して「確かめる」ことができればいい旅で、それができないと残念、ということになってしまいます。

 しかし、旅のおもしろさは確認作業ではなくて、その場その時に自分が居合わせる偶然を楽しむことだと思います。オンラインツアーで、リアルな旅行のちょっと手前のそんな体験を演出できると、未来の旅につながりやすいのではないでしょうか。その按排が難しいのですけれど。(私も旅行ガイドなどを書く上で、どこまで見せたら、知らせたらいいかが永遠の課題です)

 事前に送付する地元の産物などをうまく使うと、オンラインでも五感のすべてを使ってバーチャルな旅行をすることができます。

 現地と参加者をインタラクティブにつないでやりとりする余地は、あるといいです。みんなが直接コミュニケーションを取らなくても、一部の人が質問したりすることで、他の人も「傍え聴き(かたえぎき)」効果で、「それ、私も知りたかった」「そういう視点があるのか」と一段レベルアップした体験もできます。これは、先輩の旅行記者の方たちとプレスツアーに参加して、とても勉強になった体験から太鼓判を押します。参加人数次第では、進行が難しくなるかもしれませんが。

 こういうところをうまくプロデュースできると、実際の旅行に発展したときにも「ただ行っただけ」を超えて、旅行者も迎える側も有益な旅になるでしょう。



島ファクトリーとリモートトリップ


 このツアーを運営している株式会社島ファクトリーは、海士町で着地型ツアーなどの企画旅行が旅行者向けの主な事業内容です。代表者も含め、全員が島の外からやって来たIターンです。隠岐は外来者を受け入れて活躍させてくれる風土があり、移住者、特に若い年代の人が多いのが特徴です。

 他の観光地同様、昨年来のCOVID-19の感染拡大によって観光客が減った上に、離島という条件から医療態勢の余裕がなく、万が一にも感染を広げることはできません。そこで工夫されたのが、リモートトリップでした。

 独自の企画だけでなく、日本航空(JAL)とのコラボレーションや、鳥取県の「山陰海岸ジオパーク」と共に2つのジオパークをめぐるツアー、瀬戸内海の本島(ほんじま・香川県)と同時に2つの島をめぐるツアーと、オンラインならではの“瞬間移動”を活用したツアーなども実施しています。

 好きで島に住み着いてしまった地元への愛着と、外から客観的に島を見るふたつの視点をもち、しかもデジタルネイティブの年代が旧来の「旅行」にとらわれずに発想したところが、島ファクトリーのリモートトリップの魅力になっていると感じました。

 それがいちばん表れているのが、どの島でも「人」と引き合わせてくれたところだと思います。企画した彼らが、「島の魅力は人にある」と、確信しているからだと思います。これは、なかなか地元の人だけでは実現できなかったことなのではないでしょうか。

 日本海に浮かぶ隠岐には、古くからいろいろな人が流れ着いてきて、その人たちが情報や文化を運んできました。それを排除することなく生かしてきた島の歴史が、いまこの時代にも新しい旅文化を生む地盤になっているように思います。




<オンラインツアーってどう?>

 ① 隠岐リモートトリップを例に

 ② “体験”できるリモート

 ③これからの旅につながるツアー