来訪神 仮面・仮装の神々

 11月29日、ユネスコ無形文化遺産に「来訪神 仮面・仮装の神々」の登録が決定しました。きょう30日に記者発表があり、行ってきました。2009年に「京都祇園祭の山鉾行事」などと共に「甑島のトシドン」が登録されていたのに、拡張提案として他の9件を加えて、グループとして登録されました。

 来訪神 といってもピンとこないと思いますが、「悪い子はいねかぁ」と太い声で呼びながら子どものいる家を回るナマハゲのように、決まった日にだけ人間界にやってくる神様のことです。サンタクロースも、その一人と言えますね。

 このような農耕など一年のスケジュールに関係し、また未来を担う子どもの健やかな成長を願う、地域の生活に深く根ざした民俗行事にスポットを当てたところは、おもしろいし価値のあることだと感じました。


登録された来訪神の内、男鹿のナマハゲ(後列両端)、米川の水かぶり(後列中央)、輪島のナマハゲ(前列)

今回登録された来訪神行事


1.甑島のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)

2.米川の水かぶり(宮城県登米市)

3.男鹿のナマハゲ(秋田県男鹿市)

4.見島のカセドリ(佐賀県佐賀市)

5.能登のアマメハギ(石川県輪島市・能登町)

6.吉浜のスネカ(岩手県大船渡市)

7.宮古島のパーントゥ(沖縄県宮古島市)

8.薩摩硫黄島のメンドン(鹿児島県三島市)

9.遊佐の小正月行事(アマハゲ)(山形県遊佐町)

10.悪石島のボゼ(鹿児島県十島村)



 ラインナップを見ると、どこも海に面した地域や島なことに気付きました。

 これは私の感想ですが、これは多分に異国の人をイメージしたものなのではないでしょうか。天狗のことを少し調べているのですが、天狗については古代から渡来していた仮面の伎楽面との類似からも西洋系白人との関連があると考察されています。来訪神についても、同様かなという印象をもちました。

 もちろん、北の方が北方系、南の方は南方系という違いはありますが。

 しかしおもしろいのは、各地方の代表者からのお話の中で、「普段は山にいる神様が、その時だけ集落に降りてくる」というところがいくつかあったことです。天狗についても、弾圧されて各地に落ち延びた外国人キリシタンの例もあるのでは、言われているようなので、もしかするとそういうこともあるかもしれません。(800年も前からの来訪神もいるようなので、もちろんそれだけではありませんが)


 有識者として会見に出席した福原敏男氏(武蔵大学教授)もおっしゃっていましたが、このような来訪神は全国に他にも多数伝えられていて裾野が広く、中には「秘儀」として地域の人だけしかアクセスできないものもあるとのことです。これは、民俗学的に貴重です。

 しかし、どこの地域も共通しておっしゃっていたのは、「後継者がいない」ことです。

 行事を行う大人だけでなく、神様が行くべき子どものいる家もいなくなっているのです。

 そこで、体験などを通じて観光資源として守る方法もひとつあります。一方でその道を選ばず、今回のようなときにも「島から出ることもできないし、行事の日でないと山を降りてきません」と、地域の人のための神という立場を貫く方法もあります。

 このように何百年も続く民俗行事をきちんと伝えてきた地域が、憂いなく毎年来訪神を迎えていけるようにするには、どんな方策があるのか。世界に認められた来訪神を守るためには、多くの人が関わっていくべきなのではないでしょうか。


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