6月24日、あきる野市にある南沢あじさい山に行ってきました。
昨年から旅LABO本郷のメンバーで訪ね、半世紀かけてあじさい山を形づくってきた経緯を伺ったり、花を楽しんだりしてご縁のある花の名所です。
まずは、花をお楽しみください。
忠一さんの根気が実現したあじさいの山
以前にもブログに書いたのですが、もう一度かんたんにこのあじさい山のことをお話しします。
南沢あじさい山は、JR五日市線の武蔵五日市駅から約2.5km。歩けば約30分のところにあります。
ここに生まれ育った南沢忠一さん(90)が、家のお墓のある裏山にあじさいを植え始めたのが40歳の頃でした。当初は、お墓までのつもりでした。そこまで10年かかって、道沿いにあじさいの株を殖やしていきました。それで終わらず、南沢さんが言うのには「近所の人が喜んでくれるので、ついつい」その先にも植え続け、50年かけて広げてきました。
今では、その数1万株。花の時期には1万人もの人があじさいのお花見に訪れ、テレビなどでも紹介されています。昨年は歌手の加藤登紀子さんも来訪して、手づからあじさいの株を植えていきました。
全国にあじさいの花の名所はあちこちにありますが、ここ南沢あじさい山独自の特徴は、杉山の斜面に花が咲くことです。山の斜面一面にあじさいが咲く中に歩道が設けられ、あじさいの間に杉の木が伸びて適当な日陰を作り、傍らには沢が流れ、頭の上からは野鳥の声が降り注ぎます。
寺社の境内や沿道に咲くあじさいとは違って、花を楽しみながら森林浴をしているような清々しい自然散策ができます。その雰囲気をお伝えするのがとても難しいのですが、こんな感じです。
若者に受け継がれるあじさい山
旅LABO本郷でこの南沢あじさい山に着目したのは、あじさいが素晴らしいだけではありませんでした。
忠一さんが50年かけて育ててきたあじさい山の維持・管理を、受け継いでやっていこうという若者が現れたのです。彼らは、地元で株式会社do-moという会社を立ち上げ、武蔵五日市駅前のカフェなどの飲食業やイベント、地元食材を生かした商品開発など、地域を大切にした活動をしている人たちです。
南沢あじさい山の忠一さんとの出会いのきっかけは、構想した「あじさい茶」でした。あじさい茶の原料栽培に山を借りられないかという話の中で、忠一さんがこれまで続けてきたこと、あじさい山への思いを受け止め、自分たちの事業の一部門としてあじさい山を未来に向けて継承していくことを決めたのです。
若い人が加わったことで、山の遊歩道に「物語のはじまり!」(=山の入口で、最初にあじさいを植えたところ)、「ここまでで10年」(=お墓の前)といった木の表示を設置したり、山に広がるあじさいを俯瞰してみられるよう高い位置に「フォト・スペース」を作ったりするアイデアも実現しました。また、永続的な事業にする資金の一助にと南沢あじさい山祭り期間の入山料や駐車料金を徴収するようにしたり、クラウドファンディングを成功させたりという新しい展開が生まれています。
このように、私費を投じて個人的に活動してきたことは、子どもなどの血縁か、あるいは行政が引き取らないとなかなか継続し難いものですが、このように新規に起業した若い年代が受け継ぐ決断をする例は、なかなか見られません。
なかなか収益化が難しく、なにより手間のかかる自然相手の活動を取り込みながら、事業として続けていくことはできるだけ応援したいと思います。
初めてのblan.co
do-moが2019年9月、武蔵五日市駅の高架下にオープンさせたお店に「blan.co(ブランコ)」があります。向かいのカフェ「do-mo kitchen CANVAS」では食事したことがあったのですが、こちらは初めてでした。
娘と、鮎おにぎり、お食事コッペの鴨ロース&あきる野たまごを半分こしながら食べると、これが想像を超えたおいしさ。おにぎりは、鮎のふりかけと鮎ネギ味噌の2種類。鮎の香りと味が主張してきて、これは新しいおにぎりです。お食事コッペの方は、地元の山下養鶏場の旨みの深い卵と、存在感のある鴨に、鮎のソースの風味が全体を包みこみます。
思わずもう一度お店に行って、おやつコッペの練乳あんこ&ドライトマトを追加購入して、クルマに戻りました。
なんでそんなに鮎が登場するのか? と疑問に思う方も多いと思います。ここあきる野市は、「秋川渓谷」と言った方が都内在住者にはなじみがあるように、川の街です。そこにはたくさんの鮎が遡上してきます。
その鮎を生かしてdo-moが開発したのが、「鮎オイル」や「鮎チョビ」です。この鮎の加工品が、blan.co独特の味を生み出しているのです。
blan.coは通常、1階でコッペパンやおにぎり、飲み物などを販売。2階のイートインスペースで食べられるスタイルなのですが、現在は新型コロナ対策でイートインは閉まっています。駅を降りたらまず寄って、お弁当やおやつを仕入れて歩き出してはいかがでしょう。
ことしの「南沢あじさい山祭り」は、7月5日(日)までの予定ですが、開花時期が遅れ気味なので延長の可能性もあります。(ことしは感染症対策として、駅からのシャトルバスは運行していません)
| 入山料金:一般:500円(中学生以上)、子供:300円 ※未就学児無料
| 駐車場普通車:800円 7月4日(土)には、南沢あじさい山50周年特別企画として、「加藤登紀子&Yae あじさい山コンサート」が行われます。会場は、あじさい山と武蔵五日市駅の間にある深澤渓谷自然人村。詳しくは、上記のリンクから。
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