南伊豆のジオ

最終更新: 2019年12月10日

「伊豆半島は、日本列島の中で唯一、フィリピン海プレートに乗ってやってきた火山島なんです」

 そんなことを聞いてしまうと、文句なく胸がざわついてしまいます。

 大きな地震が起きる度によく言われているように、日本列島はアムールプレート、オホーツクプレート、フィリピン海プレート、太平洋プレートの4つの岩盤が押し合ったところにあります。それぞれのプレートがゆっくりと動いてきて、島がぶつかり合って形成された列島と言えます。

 その中で、伊豆半島だけが南の海からやってきているなんて、ロマンを感じませんか。富士箱根伊豆国立公園などと括られていますが、富士山や箱根とは隣り合っているけれど、元は別の場所だったのです。しかも、いまも1年に数㎝ずつ北西に移動し続けていて、1万年も過ぎると数百mも動くのですよ。

 まだ充分に勉強できていないのですが、海底火山とか、ぶつかり合った歪みとか、その後の火山活動とか、海食とか、地震とかの活動で、さまざまな地球の表情を見せています。

 それらの見どころをジオサイトといいますが、伊豆半島には無数にあります。それらが2018年、世界ジオパークに認定されました。

 11月4~5日、南伊豆に行く仕事があったので、ついでにいくつかのジオサイトを見てきました。その中の、恵比須島と中木の柱状節理はこんなところです。



恵比須島 (下田市)


 伊豆半島南部は、海底火山だった時代の噴出物が広く残っていて、それが隆起したり浸食されたりして現在の地形を形作っています。

 水仙で知られる爪木崎の西側、橋結ばれている恵比須島は、島の外周につけられた遊歩道を歩くとそのような地形がはっきり見えるジオサイトです。

 火山灰が降り積もった地層、土石流が流れた跡などがきれいに見え、無数のノジュールが確認できます。海に向かって広がる千畳敷は浅瀬が波に削られたところが隆起して海面に出てきた「波食台」で、磯遊びの好適地。小さな水たまりにも魚の姿が見えました。

 島の中央の高見ある恵比須神社の近くでは古墳時代~奈良時代の祭祀跡が見つかっているということで、古代人もこの地を特別な場所と捉えていたようです。

 



中木の柱状節理 (南伊豆町)


 伊豆半島先端の石廊崎に近い中木(なかぎ)の海岸では、見事な柱状節理が見られます。

 これは、火山噴火した際に通り道で冷えて固まったマグマが、浸食で周囲が削り取られて露出した「火山岩頸」と呼ばれるもので、冷却される過程で収縮して割れ目が入ってできたのだといいます。

 垂直に伸びているところだけでなく、斜めやほぼ水平に並んでいるものもあります。

 地球の胎動がそのまま冷え固まって、その歴史を私たちに見せてくれているようです。

 これが、遠目に見るのではなく、すぐ下に歩道が作られていて、歩きながら間近に見、手で触れることもできるのです。

 地質学的には、いつ頃どんなことがあってこのような形になったとわかっているのでしょうが、乏しい知識の範囲でどんな風にしてこうなったのか想像してみるのも楽しみです。




ジオ菓子


 伊豆半島のあちらこちらにある、このような自然の造形を、なんとお菓子にしてしまった人がいます。しかも、そっくり!

 このお菓子は、地元の洋菓子屋さんが地域おこしのために考案、、というわけではありません。 鈴木美智子さんという女性が、このジオの景色に足を運んでもらうには、頭ごなしに地理的な説明をするより親しみやすい「食べる」体験をしてもらった方がいい! と思いつき、“菓子化”したのだそうです。

 しかし、よくぞここまでの再現! 私もお菓子作りはかなりやる方ですが、見た景色をどんな手法でお菓子にするかと考えても、おいそれとは思いつかないでしょう。開発だけでなく、これを作るのはかなりの手間と時間がかかるはずです。

 彼女は伊豆のジオサイトを案内するジオガイドでもあり、その特徴は「ジオ菓子持参ツアー」。お菓子そっくりの風景に行って、そのお菓子を食べながら楽しむのです。

 ジオ菓子にはそれぞれの地学的な説明や地図などもついていて、行ったジオのお菓子を食べるのも、ジオ菓子で興味をもってジオに行くのも、ジオ菓子を食べて行った気になるのもOK。とかくお勉強になりがちな石や地層の話も、食べ物と直結すると感覚的に捉えられて身近になりますね。

 各地のお宝も、こんな風にしてぐっと寄り添う工夫、参考になりますね。




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